・Matterportって結局何なの?基礎から内容を理解したい。
・Matterportの導入メリットや活用事例、制作する場合の料金を知りたい。

こんなお悩みを解決する記事を書きました。
2010年にGoogleでベンダー社員として働き始め、今までに3,000件以上の室内版ストリートビューを撮影してきました。現在は株式会社ブリッヂというバーチャルツアー制作の会社を経営しています。
3Dバーチャルツアーやデジタルツインといった言葉を耳にする機会が増え、その中心的な技術として「Matterport(マターポート)」が注目されています。
この記事では、「Matterportとは何か?」という基本的な問いに答えながら、その具体的な機能、ビジネスでの活用事例、料金体系、そして最新の動向まで、網羅的に解説します。導入を検討している方はもちろん、まずは情報を集めたいという方も、ぜひご一読ください。
1. Matterportとは?- 空間をデジタル化するプラットフォーム
Matterportって何?
Matterportとは、現実の空間をスキャンし、高精細な3Dモデル(デジタルツイン)を生成・共有するためのプラットフォームです。
専用のカメラで撮影したデータをMatterportのクラウドにアップロードすると3Dモデルが生成され、まるでその場にいるかのような高精細な画質のバーチャルツアーを作ることができます。
このバーチャルツアーはPCやスマートフォンからウェブブラウザを介して見る事ができ、ホームページにも自由に埋め込めるので、コーポレートサイトやランディングページなど、必要な場所にいくつでも配置することができます。
360度ビューとの根本的な違い
従来の360°パノラマビューが特定の地点からの「全球写真」であるのに対し、Matterportは空間全体の構造を3次元データ(点群データ)として保持している点が大きな違いです。
これにより、ユーザーは空間内を自由に歩き回る(ウォークスルー)だけでなく、空間全体を俯瞰したり(ドールハウスビュー)、正確な寸法を計測したりすることが可能になります。
施設内を実際に歩いているかのように動き回って見学する事ができ、建物を俯瞰する3Dモデルや平面図も確認する事ができます。こちらのリンクから実際に操作できるので、ぜひ体験してみて下さい。
Matterportの企業概要と沿革
ここではMatterportの運営会社である米国本社と、日本での事業を担う日本法人のそれぞれについて、その概要と沿革をご紹介します。
Matterport, Inc.(米国本社)の概要・沿革
- 商号:Matterport, Inc.
- 本社所在地:米国カリフォルニア州サニーベール
- 設立:2011年
- 事業内容:3D空間データプラットフォーム「Matterport」の開発・提供
- 2011年:Matterport, Inc. 設立
- 2021年7月:NASDAQ市場へ上場
- 2025年2月:米国不動産情報大手 CoStar Group による買収が完了
マターポート合同会社(日本法人)の概要・沿革
- 商号:マターポート合同会社 (Matterport Japan GK)
- 所在地:東京都千代田区丸の内
- 設立:2017年2月
- 事業内容:日本国内におけるMatterportプラットフォームの販売・マーケティング
- 2017年2月:マターポート合同会社として日本法人を設立し、本格的に国内事業を開始
- 2021年〜:国内でのパートナープログラムを拡充し、建設・不動産・保険など各業界での導入を加速
米不動産大手CoStar Groupによる買収
2024年4月に発表されたMatterportのCoStar Groupによる買収は、2025年2月28日をもって正式に完了しました。不動産情報サービスの最大手であるCoStar Groupの傘下に入ったことで、今後は両社の技術が融合し、不動産テック市場におけるデータプラットフォームとして、より強力なサービスへと進化していくことが期待されます。(出典: CoStar Group Completes Acquisition of Matterport)
Matterportの導入効果とビジネスで追うべきKPI
Matterportは単なる「面白い技術」ではなく、ビジネスの成果に直結する具体的なメリットをもたらします。ここではDX(デジタルトランスフォーメーション)の視点から、その導入効果と、計測すべきKPI(重要業績評価指標)の例を見ていきましょう。
①見込み顧客の獲得とコンバージョン率の向上
Matterportを導入し見込み顧客の獲得とコンバージョン率を向上させた事例として、リスト サザビーズ インターナショナル リアルティが挙げられます。同社はMatterport Pro2カメラで高級物件のリアルな3Dバーチャル体験を提供。これにより、顧客は世界中どこからでも自由に物件を内覧でき、本気で購入を検討する顧客の獲得に成功しました。
この没入型体験が奏功し、同社は「売上倍増目標を突破」という具体的な成果を達成。Matterportは、オンライン内覧や物件管理支援を可能にし、販売促進の強力なリソースとして貢献しています。
出典: List Sothebys InternationalRealty Case Study
②競争優位性の確立
企業の技術革新を広くアピールする「場」をデジタル化することは、新たなビジネス機会を創出し、競争優位性を確立します。日本のグローバル企業である富士フイルム (Fujifilm) は、ビジネスパートナーとの協業を促進する施設「オープンイノベーションハブ」の3Dデジタルツインを構築しました。これにより、物理的な制約を超えて世界中から施設を訪れることが可能になり、実際の訪問と比較して6倍の数の訪問者を迎えることに成功。自社の先進技術をより多くの人々に届け、ビジネスチャンスを拡大するという、他社にはない強力なアドバンテージを確立しています。
③業務効率化とコスト削減
グローバルに展開する企業にとって、多数の施設を効率的に管理することは重要な経営課題です。世界的な製薬・バイオテクノロジー企業であるバイエル (Bayer) は、Matterportを導入して既存の施設や工場を3Dスキャンし、設備投資プロジェクトの計画プロセスを刷新しました。結果として、従来の手法に比べてプロジェクト計画にかかるコストを75%削減することに成功。これにより、迅速な意思決定と、より効率的な資産運用を実現しています。
出典: Bayer Case Study
Matterportの機能と仕組み
ここではMatterportで制作したバーチャルツアーの多彩な機能をご紹介します。
ウォークスルービュー
空間内を自由に歩き回る、最も基本的な表示モードです。
ドールハウスビュー
建物全体をミニチュア模型のように俯瞰でき、空間の全体像を直感的に把握できます。
フロアプランビュー
真上から見た平面図を表示します。各階のレイアウト確認に便利です。
計測ツール
画面上で2点間をクリックするだけで、実際の距離を高い精度で計測できます。家具の配置検討や搬入経路の確認などに役立ちます。
Mattertag(タグ)
3D空間内の特定箇所に、テキスト、画像、動画、URLリンクなどを埋め込める機能です。設備の仕様説明や商品紹介など、インタラクティブな情報提供が可能です。
【業界別】Matterport活用事例
Matterportは、業界を問わず、様々なビジネス課題を解決するための強力なツールとして世界中で活用されています。ここでは、公式の成功事例(ケーススタディ)や企業の公式発表を基に、具体的な活用例を業界別にご紹介します。
不動産・住宅
リスト サザビーズ インターナショナル リアルティ: 日本を拠点に高級不動産を取り扱う大手企業で、国内外の富裕層顧客に対し、洗練された好みと高い期待に応える質の高いサービスを提供することで高く評価されています。
課題: 同社は高級不動産の取引において、本契約後の顧客への継続的な質の高いサービス提供と、特に物件管理の効率化に課題を抱えていました。また、リノベーションや改修の際に、建築家、エンジニア、請負業者といった関係者間で物件の正確な現状を共有し、コミュニケーションを効率化する方法を模索していました。
活用方法: 同社はMatterport Pro2カメラを導入し、物件のリアルな3Dデジタルツインを制作しました。このデジタルツインを、単なる販売促進に留まらず、リノベーションプロセスの各段階における物件のありのままの状態を記録するために活用しています。これにより、建築家、エンジニア、請負業者などの関係者とのコミュニケーション効率化に役立てています。 さらに、顧客へのコンシェルジュサービスの充実にもMatterportの活用範囲を広げています。具体的には、通年で物件に居住していない顧客に対して、デジタルツインによる堅牢な空間データを提供し、電気パネルから洗濯機まで全ての場所を正確に把握することで、修理対応などきめ細やかなサポートを行っています。将来的なサービス強化として、Matterport開発者ツールを活用し、物件の元の状態を提供する顧客向けアプリの開発も視野に入れています。
成果: Matterportの導入により、リスト サザビーズ インターナショナル リアルティは、リノベーションや改修プロジェクトにおける関係者間のコミュニケーションを大幅に効率化できるようになりました。物件のあらゆる段階を正確にデジタル記録することで、情報共有がスムーズになり、関係者間の認識齟齬を防ぐことに貢献しています。 また、物件管理機能を通じたコンシェルジュサービスの質が向上しました。特に、不在がちな富裕層顧客に対し、デジタルツインを活用したきめ細やかな物件管理サポートを提供することで、契約後の顧客満足度を高め、長期的な顧客との関係性強化に繋がっています。Matterportは、このような物件管理能力の向上やコンシェルジュサービスの充実において「強力なリソース」として機能しています。
出典: List Sothebys InternationalRealty Case Study
建設・建築
東急建設株式会社: 東急建設株式会社は土木・建築事業を主軸に展開する日本の大手総合建設会社です。長期経営計画「VISION2030」において「デジタル技術」と「人材」を競争優位の源泉と位置づけ、ICT活用によるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を積極的に行っています。
課題: 従来の建設現場では、360度カメラと地上型レーザースキャナー(TLS)を併用しており、3Dモデルの作成や断面図の生成には専門技師の作業が必要で、時間も労力もかかっていました。また、「2024年問題」を目前に控える中で、さらなる業務効率化が喫緊の課題でした。特に、現場への訪問回数削減、関係者間のコミュニケーション円滑化、そして手戻りの防止が求められていました。さらに、図面のない既存構造物の測量や、人手での計測が困難な高所の作業も課題でした。
活用方法: 東急建設はMatterport Pro3カメラを導入し、現場のリアルな3Dデジタルツインを制作しました。これにより、1回のスキャンで写真画像と高精度の点群データの両方を取得できるようになりました。作成されたデジタルツインは、クラウド上に保管され、PCやモバイル端末のブラウザから「いつでも」「どこからでも」「関係者は誰でも」アクセス可能です。デジタルツイン内には、説明書き、図面、画像、動画、リンク、ファイルなどを添付できるタグ機能や、複数ユーザー間でコメントを交換できる注記機能が活用され、情報共有とコミュニケーションを促進しています。また、Matterportで得られた計測データを点群データに変換し、計画3Dモデルと統合することで、未来の状況をシミュレーションする用途にも活用しています。
成果: デジタルツインの活用により、現況調査や出来形管理業務がリモートでも可能となり、現場への訪問回数を削減できました。これにより、関係者間のコミュニケーションが円滑化し、手戻りの防止にも貢献しています。Matterportの導入は、新規入札時のプレゼンテーションにおいても、関係者間の合意形成を容易にしました。施主からも高い評価を得ており、提案力の強化にも繋がっています。Matterportは単なる現状把握に留まらず、計画3Dモデルと統合することで未来の状況の可視化にも活用されており、施工計画の立案を効率化する「フロントローディング」ツールとして不可欠な存在となりました。 これらの取り組みは、建設業界のDXを先取りした先進事例として高く評価されています。
出典: Tokyu construction Case Study
小売・店舗
株式会社ドゥワーク: 株式会社ドゥワークは、「健康的な生活を、もっと身近に」という理念のもと、世界No.1の店舗数を誇る24時間年中無休のフィットネスジム「エニタイムフィットネス」のフランチャイズ運営を、首都圏を中心に複数店舗で展開しています。同社は、地域住民の健康増進に貢献するため、利便性の高い立地と、安全で高品質なトレーニング環境の提供に努めています。
課題: 同社は、新規会員獲得に向けた店舗集客において、Webサイトを中心としたデジタルマーケティングに注力していました。しかし、競争が激化するフィットネス業界において、他店舗との差別化を図り、施設の魅力を効果的に伝える方法を模索していました。静止画の写真や間取り図だけでは、最新鋭のマシンの豊富なラインナップや、トレーニングエリアの実際の広がり、清潔に保たれたパウダールームやシャワールームといった、「実際に通いたくなる理由」となる細部の魅力を伝えきれないという課題がありました。特に、フィットネスジム初心者の方や女性の利用者は、入会前に施設の雰囲気やセキュリティ、清潔さを重視する傾向が強く、Webサイトの情報だけでは来店への最後の一押しが不足していました。この「オンラインでの情報収集」から「オフラインでの施設見学」へのコンバージョン率を高め、最終的な会員増に繋げることが、同社の喫緊の経営課題となっていました。
活用方法: この課題を解決するため、株式会社ドゥワークは、Webサイト上に、店舗を丸ごと仮想的に体験できるコンテンツとして、Matterportの3Dデジタルツインを導入しました。これにより、ユーザーは時間や場所を問わず、PCやスマートフォンの画面上で、まるで実際に店内を歩いているかのように施設をくまなく見て回ることが可能になりました。豊富で近代的なフリーウェイトエリアや有酸素マシン、充実したストレングスマシンの数々を、その配置やスケール感まで含めてリアルに訴求。ユーザーが特に気にするシャワールームやロッカールームといったエリアも、隅々までクリアに確認できるようにしました。さらに、バーチャル見学で入会への意欲が高まったユーザーがその熱量を失う前に、スムーズに行動へ移せるよう、3Dデジタルツインの画面内に「見学予約はこちら」というボタンを効果的に配置。ワンクリックで予約フォームに遷移するシームレスな導線を設計し、Web上での体験が実際の来店予約に直結する仕組みを構築しました。
効果: Matterportの導入後、Webサイトの店舗紹介ページにおけるユーザーの関心度は着実に向上し、施設見学の予約数も増加傾向にあります。3Dデジタルツインは、オンライン上で施設の規模感や清潔感を直感的に伝えることができます。これにより、ユーザーは自分がそのジムに通うことになった時の姿を具体的に想像しやすくなります。「ジムの雰囲気が分からなくて不安」「行く前にどんなマシンがあるか知りたい」といった、これまで来店をためらっていた潜在顧客層の不安を解消し、最初の一歩を後押しする強力な橋渡し役として機能しており、安定した新規会員の獲得に繋がっています。
文化施設・観光
国立科学博物館: 国立科学博物館は、自然史・科学技術史に関する日本の中核的な博物館です。同館は、いつでもどこでも博物館を体験できる「おうちで体験!かはくVR」というコンテンツを公式サイトで公開しています。
課題: 同館が抱える課題は、主に2点ありました。第一に、立地や時間、身体的な制約など、様々な理由で実際に来館することが困難な国内外の多くの人々に、収蔵品や展示の魅力を届けること。第二に、会期が終了すると見ることができなくなってしまう、貴重な特別展の記録をどのように保存・公開し、知的資産として後世に継承していくか、という点です。
活用方法: 同館は、その解決策としてMatterportを導入し、常設展である「日本館」「地球館」の全フロアや、会期が終了した「和食」展、「海」展といった特別展を3Dスキャンし、デジタルアーカイブを構築しました。これにより、ユーザーはいつでもどこでも、PCやスマートフォンのブラウザから、高精細なバーチャル空間として再現された館内を自由に歩き回ることが可能になりました。常設展はもちろん、現在は見ることができない過去の特別展も、当時の展示空間そのままに体験することができます。
効果: この取り組みにより、物理的な制約を超えて、世界中の誰もが日本の科学技術や自然史に触れる機会を得られるようになりました。特に、会期を終えた特別展をいつでも「追体験」できることは、教育・研究分野における貴重な資料的価値を持ち、博物館の知的資産を半永久的に保存・活用する新たな道を拓きました。また、来館前の予習や、来館後の復習といった新たな楽しみ方も提供し、博物館の魅力をより多くの層へ発信する上で、大きな成果を上げています。
出典: 国立科学博物館公式サイト「おうちで体験!かはくVR」- https://www.kahaku.go.jp/VR/
様々な業界のMatterportサンプルをまとめた記事もご用意しています。実際の操作感をぜひ体験してみてください。 →【記事:matterportサンプル事例の紹介】(※近日公開)
その他のバーチャルツアーとの比較
バーチャルツアーにはいくつかの種類がありますが、ここでは弊社で提供している「Matterport」「Googleストリートビュー」「オーダーメイドVR」の3つのサービスを、目的や機能の観点から比較します。この表をもとに、制作目的にあったバーチャルツアーを検討してみてください。
比較表
比較項目 | Matterport | Googleストリートビュー | オーダーメイドVR |
表現の自由度 | 中: テンプレートに沿った高品質なツアーを制作。カスタマイズ性は限定的。 | 低: Googleの仕様に準拠。UIの変更や独自機能の追加は不可。 | 高: アイコンやマップ、画像など、オリジナルデザインで理想のバーチャルツアーを制作可能。 |
品質 | 高: 3Dスキャンによる歪みのない高精細な画像。 | 中〜高: 高画質な写真を使用するが、Googleマップに掲載すると若干解像度が落ちる。 | 高: 高画質な写真をそのまま使用可能。 |
機能性 | 高: 寸法計測、タグ埋め込み、ウォークスルー、ドールハウスビューなど多機能。 | 低: 地図連携、基本的なウォークスルー機能のみ。 | 高: マップ、画像、動画を自由に配置でき、VRゴーグルでの閲覧も可能。 |
費用 | 中: 初期費用+月額費用。比較的手頃なプランから利用可能。 | 低: 撮影費のみ。Googleへの掲載費用は無料。コストを最も抑えられる。 | 高: 開発費が必要なため高額になるが、保守費用は掛からない。 |
納期 | 短: 撮影後、数日〜1週間程度で公開可能。 | 短: 撮影後、1〜2週間程度の審査・公開期間が必要。 | 長: 要件定義から開発・テストまで、1〜2ヶ月の時間が必要。 |
更新性 | 中: 再撮影で更新可能。大幅なレイアウト変更の際はは全箇所再撮影の場合も。 | 中: 再撮影・再申請が必要。既存の写真との接続も可能。 | 中: 機能追加やコンテンツ差し替えなど、部分的な改修にも柔軟に対応可能。 |
まとめ
- Matterport: 高品質・多機能なツアーを、比較的早く安価に実現したい場合に最適。
- Googleストリートビュー: とにかくコストを抑え、Googleマップからの集客を狙いたい場合に有効。
- オーダーメイドVR: 独自の機能や世界観が必須で、予算と期間をかけてでも理想のバーチャルツアーを構築したい場合に選択。
Matterportの料金体系
Matterportを利用する際の料金は、大きく分けて①ホスティング費用と②撮影費用の2つで構成されます。
① ホスティング(サブスクリプション)費用
撮影した3Dデータをクラウド上で保持し、公開するために必要な月額または年額の費用です。プランによって管理できる3D空間の数(アクティブスペース数)や利用できる機能が異なります。基本的に使用したいバーチャルツアーの数で選んで頂ければ大丈夫ですが、プランによって対応しているカメラが異なり、現実的に高品質なバーチャルツアーをホスティングして使用したい場合はStarter以上のプランが候補となります。
プラン名 | 月額料金(年払い時) | 対象ユーザー・特徴 |
Free | ¥0 | アクティブスペースは1つ。個人でのテストやお試し向け。 |
Starter | ¥1,600(5アクティブスペース) ¥3,200(10アクティブスペース) ¥4,800(15アクティブスペース) ¥6,400(20アクティブスペース) | アクティブスペースは5から選択可能。個人事業主や小規模な活用に。 |
Professional | ¥8,000(20アクティブスペース) ¥9,800(25アクティブスペース)¥11,500(30アクティブスペース) ¥15,000(40アクティブスペース) ¥18,300(50アクティブスペース) ¥26,300(75アクティブスペース) ¥34,100(100アクティブスペース) ¥41,800(125アクティブスペース) ¥49,200(150アクティブスペース) | アクティブスペースは20から選択可能。不動産会社での内製や映像制作会社の撮影など本格的なビジネス利用に。 |
Business | ¥40,800(100アクティブスペース) ¥44,500(125アクティブスペース) ¥52,600(150アクティブスペース) ¥68,500(200アクティブスペース) ¥100,100(300アクティブスペース) | アクティブスペースは100から選択可能。大企業内での複数のセクションを跨いだ管理や、チーム間のコラボレーションを行う際に。メモやタグの保管容量も500GBまで対応。 |
Enterprise | 営業担当者に問い合わせ | 上記に当てはまらない大規模使用や、その他のカスタマイズを希望する場合に選択。 |
② 撮影費用
撮影費用は、「自社で撮影する」か「撮影代行を依頼する」かによって内容が大きく変わります。
パターンA:自社で撮影する場合
カメラなどの初期機材費用が必要です。Matterport Proシリーズのようなプロ向けカメラから、サードパーティ製の360°カメラ、さらにはスマートフォンまで、様々な機材で撮影が可能です。
カメラ機種 | 本体価格(目安) | 特徴 |
Matterport Pro3 | 約100万円〜 | LiDAR搭載の最上位機種。大規模・高精度・屋外対応。 |
Matterport Pro2 | 約40万円〜 | 3Dスキャンの定番。高画質で不動産などに最適。 |
Insta360 ONE RS 1-Inch 360 | 約12万円〜 | 高画質な360度カメラ。コストと品質のバランスが良い。 |
RICOH THETA X | 約10万円〜 | 使いやすく人気の360度カメラ。手軽に始められる。 |
対応スマートフォン | 端末代のみ | iPhone Proモデルなど。手軽だが品質や精度は限定的。 |
どのカメラを選べば良いか分からない方へ Matterportに対応する各種カメラの性能や価格を比較した、より専門的な記事はこちらをご覧ください。 →【記事:Matterport撮影カメラ比較】(※近日公開予定)
詳しい使い方を知りたい方へ Matterportアプリの基本的な操作方法や、撮影のコツを解説した記事もございます。 →【記事:Matterportの使い方 アプリと撮影方法】(※近日公開予定)
パターンB:撮影代行を依頼する場合
専門の撮影事業者に依頼する費用です。依頼先は、Matterport専門の撮影会社のほか、Web制作会社、映像制作会社、建設系のコンサルティング会社など多岐にわたります。料金は物件の広さ(㎡)や階数、構造の複雑さによって変動するのが一般的です。
- 小規模な店舗やマンションの一室(〜100㎡): 5万円〜10万円程度
- 中規模な戸建てやオフィス(100〜500㎡): 10万円〜20万円程度
- 大規模な施設や工場: 個別見積もり
上記には、撮影費、編集費、3Dモデル生成費などが含まれることがほとんどです。オプションで、タグの埋め込みや紹介動画の制作などを依頼できる場合もあります。
料金や業者選びをさらに詳しく知りたい方へ: 自社撮影と撮影代行のコスト比較や、代理店の選び方について深掘りしたい方は以下の記事も合わせてご覧ください。
導入前に知っておきたい注意点
Matterportは非常に強力なツールですが、導入後に後悔しないために、いくつか知っておくべき点があります。
- ホスティング費用が継続的に発生する: 作成した3Dツアーを公開し続ける限り、サブスクリプション費用がかかります。買い切り型のツールではないことを理解しておく必要があります。
- 一度撮影したデータの修正には限界がある: 撮影後に壁の色を変えたり、不要な物を消したりといった大幅なCG編集は基本的にできません。撮影時点の状態がそのままデータになるため、事前の清掃や整理が重要です。
- 自社撮影でのクオリティ担保の難しさ: 誰でも撮影できる手軽さがある一方、最適な撮影ポイントの選定や動線の設計など、高品質なツアーを作るには一定のノウハウが必要です。
まとめ:Matterportはビジネスを加速させるツール
この記事では、Matterportの基本的な概念から、具体的な機能、ビジネスへの応用、料金体系、そして注意点までを網羅的に解説しました。
Matterportは、単なるバーチャルツアー作成ツールではなく、顧客とのコミュニケーションを豊かにし、業務のあり方を変革する力を持つ「空間データプラットフォーム」です。
自社のビジネスにどのように活用できるか、本記事を参考にぜひ検討してみてください。弊社でもMatterportの制作を行っておりますので、興味のある方は以下のボタンから実際の機能や料金の詳細をご覧下さい。
TwitterやYouTubeでもMatterportの制作事例や自分でできる撮影方法の情報を発信していますので、フォローして頂けたら嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。それではまた!